透湿防水シート (作業記録 11.2)
友人の結婚式のついでに半日だけ作業日が取れたので、少しだけ作業を行った。別の友人が同行してくれたので、半日だけだが貴重な2人作業だ。
新しくサイドデッキができ、ドア部分からの出入りが可能となったため、ついに壁合板を全て貼ってしまい、壁の防水を行っていく。
家屋の壁の止水層は外壁で保たれている様に思われがちだが、木造住宅の場合そうとは言えない。屋根材でもそうだが、最外層の外壁材は紫外線や雨風、飛来物や外敵などの侵襲を最も大きく受け止める。しかし台風クラスの雨風では外壁材の隙間から壁内部に水分や風が届いてしまう可能性がある。そのため、一層内側にシート材を張り巡らせ、最終的な止水層としている事が多い。
また、壁にはもう一つ重要な役割がある。それは屋内の湿気を逃がすことだ。家屋の中は人間や炊事、その他様々な水分を含んだものから絶えず水蒸気が供給されている。換気が無い閉鎖空間に水が露出している場合、空間内の気体が飽和水蒸気圧(湿度100%)に達するまで水分は蒸発し続ける。人間の皮膚から蒸発するもの(不感蒸泄)だけで一日あたり600g前後あり、呼吸による蒸発を合わせると一日1kgの水蒸気が何らかの方法で屋外へ放出されなければならない。
最も簡易な方法は換気だが、ずっと窓を開け放っているわけにもいかない。24時間定量換気システムを組むのは、小屋に対してやりすぎだろう。そこで、壁と天井からの湿気の移動を考える。
よく木の壁や漆喰の壁などで、壁が呼吸することで調湿効果があると謳われる。室内の湿度が大きく乱高下するなら、過剰なときに吸湿してくれ、欠乏しているときに放湿してくれて効果的だろう。しかし、今回の話では室内の湿度は高すぎの一点張りである。壁が呼吸しても、吸ってばかりはいられない。吸湿してくれる水分量は早晩限界を迎える。
「夏は確かにそうかもしれないが、冬は湿度が低いじゃないか?」という声が聞こえるが、それは外気の湿度が低いからである。外気が低湿だから室内気も同様に低湿で、そこに人間活動の蒸気が加わってもまだ低湿なのである。しかし外気と比較すれば多湿なので、蒸気は外に逃げる。蒸気はいかに外に逃がすかという方向で考える。
壁の湿度移動で最も気をつけなければならないのは、壁内結露を起こさないことだ。これが起こりやすいのは冬の間のことで、室内から壁を浸透してきた水蒸気が外側に近づくにつれて低温にさらされ、外気へと放出される前に凝結(結露)してしまう。これが家の構造体の周りや断熱材の中で起こると、家の柱を腐らせたり、断熱性能の著しい低下を招く。結露はいつだって、(それほど湿っていなくても)暖かい空気が冷たい物に触れた時点で発生する。また、木材を侵す腐朽菌やシロアリはいつだって多湿な環境で増加する。
壁内結露については下記が詳しい
https://www.e-igc.jp/blog-mame/2018/11/745
すなわち、外壁材の内側に止水層を設けてもそのシートが完全な密閉シートとなってしまっては、雨風を防ぐ目的は達成したとしても、シートの内側(ツーバイフォー工法ならば構造用合板)にどんどん結露が発生し、合板や枠組みが数年で腐ってしまう。よって止水を受け持つシートは、水や風は通さない一方で水蒸気は通す性質を持ったものでなければならない。それが透湿防水シートである。
これは外側からの水分は通さないが、内側からの水蒸気は通してくれる、ゴアテックスのようなシートである。これを壁合板の周りに張り巡らせることで、ようやくブルーシート保護を脱却することができる。
シートに重ね合わせ幅の補助線が書いてあるので、その通りに重ねてタッカーで止めていく。タッカーはダイソーのものを使ったが、1000円くらいのものとほぼ遜色ない使い心地だった。ただし、針がダイソーのものしか入らなかったため、2-3箱用意したいところ。買った針が悪かったのかもしれない。
まず小屋の外周の長さを計算し、その長さよりやや余裕を持ってシートを切っておく。まず端っこを1針だけタッキングし、1面分伸ばしてみて、水平を確認しつつ伸ばした先をタッキングする。その後たるみを補正しつつ上端を止め、後で下に引きつつ止めていくのが良いと思う(2人法)。
最初は失敗して、端っこから徐々に伸ばしながらタッキングしていったが、すぐに歪みができて1段目は皺ができてしまった。シートをきれいに貼るのはとても難しい。
2人作業のおかげで、1時間足らずで透湿防水シート貼りは終了した。窓部分はざっくり切って、5cmほど窓の中に折り込んでおいた。
合板むき出し状態から、全体的に家屋としての風格が出てきた。
こうなると逆にデッキ部分の手すりが無いことによる危険性のほうが目立つ。倉庫にいつまでも巨大な断熱材があるので早く入れてしまいたいが、まずは手すりの設置が先だろうか。周辺の山に落ちている自然の木を使って手すりを作ることも考えたが、手間と強度を鑑みてちょっと難しいと感じたため、普通に2x4材や垂木材などを使って作りたいと思う。コーチボルトを大量に仕入れておこう。
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透湿防水シートを貼ったことで、ブルーシートの養生が不要となった。町中で、この状態で他の作業を進めている現場も多いと見受けられる。
合板が全く濡れないように作業を進めようと思ったら、プラットフォームの合板張りから壁の立ち上げ、垂木、屋根合板張り、ルーフィング張り、透湿防水シート張りまでを1回の晴れのうちにこなしてしまう必要がある。4人いれば、段取りが良ければ2日でできそうな内容だが、4人の予定と天気の予定が合うのは結構奇跡だ。となると、プラットフォームを十分覆えるだけのブルーシートは最初に準備しておくべきということになるだろう。
次回、手すりづくりの予定です。