ドア作り (作業記録 2020.1.21-25 その1)
断熱材を入れたところで2019年の作業は終わり、年が明けた。暖冬の影響で雪がほとんど降らず、降雪時の荷重試験は翌年に持ち越しとなった。
ともあれ、一番寒い時期がやってくる。
ツリーハウスの作業は、ついにドアと窓を塞ぐ段階に差し掛かった。
ドアの枠は1900x700mmのサイズで空けておいたので、このサイズで作ることになる。アンティークショップでヨーロッパの中古ドアなどを探したりもしたが、サイズがかなり大きくて、さらに普通に何万円もしたので諦めた。やはり自作になりそうだ。今回はドアを作るぞ。
ドアは一枚の板でできているのだが、一枚板で作るのは高級すぎるし、重量が大きすぎる。いろんな木製ドアを見て研究したところ、平べったい板材で枠組みを作って、その中に薄めの板ないしすりガラスなどを挟んだ構造になっているものが多い。その他、1x4などの板材を並べて作ったものも多い。
後者はbarn door(納屋の扉)と呼ばれる、上から吊り下げるタイプでよく採用されているようだ。古びた感じや基地のような雰囲気が出せてとてもいいデザインだが、今回のテーマである居心地の良い週末別荘とは少し異なる気がする。もう少しモダンな印象にしたいため、前者の構造でヨーロッパのアパルトマン風のドアを目指す。
ドアに求められる要件にはどんなものがあるだろう。
・片方の蝶番のみで支えられるため、剛性が高いもの
・プライバシー性が高いもの(中が見えない)
・雨に強いもの
・何万回もの開け閉めに耐えられる、耐久性の高いもの
・鍵がかけられるもの
このうち防水性については、合板やベニヤそのままとかでなければ許容だろう。構造体ではなく、片面が濡れてもすぐに乾く部位なので、防腐剤は要らないと思う。防水性のある屋外用塗料を使うことにする。
耐久性と剛性についてはどちらも丈夫さという視点でひとくくりにできる。特に、枠組みがグラグラで平行四辺形に歪んでしまうようではあまりにも不安定だ。歪み防止には板を固定すれば筋交いの役割となってぐらつかなくなるのはツーバイフォー工法で学んだ。
鍵はロック機構の穴を彫り込んだりするのが困難なので、南京錠でしばらく運用する。
いろいろと考えたが、2x4材で田の字型に枠組みを作って、空いた部分を5.5mmのベニヤ板で埋める構造にすることとした。
ここだけは見た目にこだわって、外に釘が見えないように作ってみるとしよう。
ドアの隙間は上下左右5mmずつ空けた。
2x4の側面同士を強固に接合するのに、釘を使わない方法はいくつかある。
大きく分けて、1.何らかの切り欠きを加えてはめ込む、2.ダボ穴を開けてダボでつなぐ、3.接着剤でくっつける、4.ビスケット実でつなぐ、などがあるだろうか。
切り欠きなんかでバッチリ組んでしまえば見た目も強度も最高だろう。しかしこれまでの作業でいかに組み手が難しいか理解したので、手を出さないでおく。接着剤のみでは雨で濡れるなどで不安がある。ビスケットジョイントはものすごく便利で強いらしいが、工具が3万くらいするらしく、ハードルが高い。ここはDIYでも手を出しやすいと言われるダボ継ぎを採用しよう。うまいことドリルで垂直に穴を開ければ良い。ボンドと併用でしっかり圧迫すれば、かなりの強度となるらしい。
ダボは何かと汎用性の高い8mmのものを購入し、ドリルも切れ味の良いスターエムのものを新たに買った。8mmの穴はちょうどぎりぎりコーススレッドの頭が隠れる大きさでもあり、ネジの頭を隠したいときに便利である。天井の飾り梁を固定するのにネジの頭を隠したいので、8mmの丸棒も買っておく。後日使う。
ダボの両側同じ場所に穴を開けるのが難しいので、ダボ穴マーカーも8mm用を買った。片方の穴に入れて、継ぎたい位置で相方の木を押し付ければ、反対側の穴の位置がマークされる道具だ。これは便利で安いのでおすすめ。
また、垂直に穴をあけるのに苦労するかもしれないと思い、ドリルのガイドも購入した。
これで狙ったところに垂直な穴を空けられるはずだったが、2x4の木口にうまく固定するのが難しく、ドリルの振動でガイドが少しずつずれていき、思うような効果は得られなかった。目分量の垂直でも問題なかったのかもしれない。しかしAmazonの評価は結構高い。裏面にサンドペーパーを貼り付けてずれないようにして使っているみたいだ。次はそうしよう。
あと、木口側(2x4を切った断端)のほうを先にドリルしたほうが、受け側でドリルガイドをクランプ固定できるため精度が増す。これも段取りの技術だ。
田の字の隙間にベニヤを入れるのだが、これは本来なら2x4の側面にトリマーで溝を掘って、その溝に板を差し込むのが正式なやり方だろう。しかしトリマーは持っておらず、結構高い。
そこで次善の策として、木のモール材を枠の内側にまずボンドで貼り付けて、そこにベニヤを貼り付ける方法を考えた。細いモール経由で接着されるため強度が不安だが、良好に接着された場合の木工用ボンドの実力を信じたい。15mmの木製モールをカインズで買っておいた。曲がっているものが多いので注意。数店舗回った。
まず枠組みを一晩接着させて、翌朝モール材とベニヤ板を接着する。結構いい感じにドアっぽくなったぞ。
ペイントだが、図書館でインテリアデザインの本をいくつか眺めて、気に入った配色があった。
木目の壁に少しくすんだ水色の窓枠を合わせるのがとても洗練されて見え、これにしようと思った。
だいたいこんな色イメージ。これはかなりラテンだが。
塗料は耐候性のある水性塗料で良いだろう。庭で使うようなものが使えそうだ。
最も近いと思った色は、ミルクペイント for ガーデンのクラウディーブルーだが、450mlが当時品切れであった
ので、少し安いローズガーデンカラーズのパリジァンブルーにした。一度塗りで十分そう。
予想より少し青が強かったが、かなり満足行く色合いだった。少し時間が経って汚れれば落ち着くだろう。モールディングの効果はすごい!これだけでしっかりしたドアに見える。
蝶番は中くらいのフラッシュ丁番を使った。隙間が小さくなってとてもよい。
ドアキャッチはボール式の安いのを使ってみた。
ドリルで穴をあけるだけだから簡単だと思ったのだが、これはドアの隙間がかなりギリギリじゃないとキャッチしてくれず、結果としてボールがドアに届かなかった。素通りだ。薄い廃材を壁側に挟んだり、ドア側のパーツを曲げたりして取り付けたが、これは失敗であった。後日マグネットのものに交換したい。
鍵はよくある安いやつだ。
これでドアが完成した。いや、正確にはまだ戸当りを付けてないからほぼ完成だ。
参考までに、この方法ではドアの枠を作っていないので、上の写真のように構造用合板の断面や透湿シート、通気層、外壁の側面などが丸見えになっている。本来はドア用の枠をさらに一層作り、その中でドアを開け閉めするようにすべきだと思う。気づいたときにはすでにドアができていたので仕方ない。後日直すかもしれないし、直さないかもしれない。壁の仕組みが見えておもしろいが、虫とかが入ってたら嫌だろうな。
ドアが閉まるといよいよ宿泊の機運が高まる。しかし、一番たいへんであろう外壁の作業をやらねばならない。はやいところタイベックで覆われたホワイトハウスを脱却したいものだ。