ツリーハウス施工記録

建築素人がツリーハウスをセルフビルドしています。トラブル続きの施工記録です。随時更新

Before the tree 〜プロローグ〜

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建築経験の無い素人が山中にツリーハウスを建設しているのだが、どうしてこのようなことになったのか。そのいきさつについて説明しておきたい。

 

筆者はアウトドア好きではあったが、それほどDIYにのめり込んできた人生ではなかった。自宅がずっと賃貸であったこともあり、大規模な作業は不可能であった。しかし自分で何かを作るといったことは幼少期から好んでおり、レゴブロックに始まり、家具や自転車の修理、機械の分解、クルマいじりなどはよく行っていた。一度はリヤカーを木造で自作し、島に渡って踏破を目指したりもした。しかし近年ではせいぜい本棚作りくらいのものであった。

 

そんな折、キャンプの好きな友人がプライベートキャンプ場の建造を主目的として山を買うと言い始めた。

「最も高額なキャンプギアは、山だ」と後に語ることになる彼は、自宅から30分程度の距離に1700坪の土地を見つけてきた。

その土地の植生はほぼスギに占められているが、現在林業を営んでいるわけでもなく、倒木もそこかしこにある荒廃しかかった山であった。しかしそれなりに整地の跡があり、中腹から湧き水が引いてあった。

土地の下の方には平らな土地が60坪ほど作ってあり、庭石と湧き水で小さな滝がつくられ、周囲も庭石と広葉樹に囲まれ、庭園のようなものを作ってあった。近くには倉庫と蔵があり、すでに電気も引いてある物件であった。

平地の部分も結構な荒れ具合であったが、倒木をどかし、庭石を掘り出し、土で整地し直せばキャンプするくらいの平面は確保できそうであった。倉庫をセルフリフォームして、別荘のようにする計画もあった。セルフビルド好きならよだれが出そうな物件である。

 

友人も例によらずDIY好きであり、山を見てリノベーションの想像は膨らむばかり、あふれる生唾を抑えきれない日々を過ごしたであろう。その山を買うにあたって彼のパートナーから出された、お小遣い制の導入と禁煙という厳しい条件を飲み、果たして彼はプライベートキャンプフィールドを手に入れた。

その内情観察と祝賀を兼ねて訪問した際、下の倉庫はともかく、山の広大な面積をどうするかという話になった。友人の考えでは、平地を確保できる部分が何箇所かあるため、そこをブッシュクラフトキャンプ場として整備したいとのことであった。

その場で、その山中にツリーハウスを作る案が浮上した。

誰が作るか?友人はもちろん倉庫のリノベーションで手一杯だ。トイレもキッチンもなければ、庭も荒れ放題である。居住環境を整備できるまで数年単位の工期を考えていた。まあセルフビルドというのは過程が本質とも言え、サグラダ・ファミリアのように永遠に完成しないものである。

「俺の山にツリーハウス作ってよ」

「もちろん、最高にロマンチックなやつを作ってやろう」

私は二つ返事で快諾した。少なくともそう記憶している。

 

かくして、私のtreehouse #1の野望はもたらされた。

 

地主(友人)から出された条件は1つ。人が下を歩いて通り抜けられること。それ以下の高さではツリーハウスとは呼べないとのことであった。

はじめての建築だし、構造計算もできず、万が一崩壊することも念頭にあった私は、勝手に50cmくらいの生ぬるい高さを予定していた。しかし確かに完成したとしてもそれでは迫力というか、展望もなければロマンも無い。下側からのメンテナンス性も考慮し、2m前後の地上高を確保することとした。

 

自分の中でのルールとしては、冬でも暖かく過ごせる家屋を有し、セミダブルベッドでぐっすり寝られるようにすること、窓から森林を眺めながら優雅なコーヒータイムを楽しめること、デッキで4人程度でバーベキューないし焚き火が楽しめることである。また、構造上の制限として、全重量を樹木で支える構造とすることとした。

googleinstagramでtreehouseを検索するとわかるが、補助的であれ、構造上の土台を地面からの柱で支えている例は意外に多い。この方がデザインの幅が広がり、樹木にも圧倒的に優しいのは理解できるが、ツリーハウスの概念からは少し遠ざかっている気がするので、除外した。もちろん、強度的に危険が差し迫っていれば躊躇なく柱を追加すると思う。

 

以上の条件でイメージを膨らませていった。防水、断熱、外観などもある程度しっかりしたいので、予算は20万くらいを予定した。経験上、これは多分増えることになると思う。

さて、どんなツリーハウスを作ろうか。