左サイドデッキの着手 (10.9-11 その1)
壁合板をおおむね貼り終え、外壁作業を円滑に行えるよう左サイドにデッキを追加することとした。最初の設計段階から比べて、最も大きな変更点である。
左奥の土台が沈んできたとき、左側に2x6でビームを追加した。これをそのまま土台として用いたいと思う。
問題点があるとすれば、写真奥のボルト部分である。これは小屋側のボルトを交換した際に貫通させたもので、長さ、強度は十分だ。しかし、反対側からドリルで水平を取りながら、なおかつ高い位置で穴あけしたため、完全な水平面にはなっておらず、サイドデッキ側ではベースの高さより若干高くなっているようだ。そのため、ビームの上に載せる根太に当たる2x8材を少々加工する必要がある。
土台の組み方は、2x8材の真ん中あたりで2x6のビームの上に載るようにして、小屋側を土台の2x10にがっちり止めてしまうことで固定した。この2x8を9本並べて、縦方向にデッキを貼っていく。根太間のスパンは400mm前後、デッキ材は従来と同様、1x4ホワイトウッドwithキシラデコール パリサンダである。木の方向が垂直になってしまうが、仕方ない。動線を表現したデザインということにしておこう。
出っ張りに体重がかかり、土台との固定部には大きな力がかかるため、ここは大きめのL字金具を使用した。腐食に備えて、できればコーチボルトも追加しておきたい。
図面を元に、いつものコメリで2x8と1x4を買い足す。顔を覚えられている気がする。
キシラデコールを4L使い切ってしまったので買い足したかったが、この店ではお取り寄せだった。工費が逼迫してきたこともあり、競合品であるALESCOの油性防腐塗料を購入した。半額ほど違う。
あとは切って、塗って、固定して、である。ALESCOのパリサンダはキシラデコールに比べるとやや水っぽい色で、染み込みが甘いと感じられる。キシラデコールでホワイトウッドを塗ると、一度塗りでかなり深くてマットな焦げ茶色が出たが、ALESCOでは焼き杉のような発色であった。
デッキの1x4は作業性を考えて、上面のみを残してあとの5面をまず塗り、デッキを貼り終えた後に上面を一気に塗る手順で行っている。大量の板を塗る、なにかいい方法は無いだろうか。
2x8の切り欠きや、樹木との兼ね合いなどに時間を取られ、1日半を要したが、サイドデッキを貼り終えた。
Fig.4の突端部が少し持ち上がっているのがわかるだろうか。これは下の根太2x8がその下の2x6に乗っている部分の切り欠きが不十分なためで、後日修正した。修正したが、それでも突端部に乗ると少し揺れるので、下から方杖を当てる必要があるだろう。
また、Fig.5の奥にはまだ足場板が渡してある。計算違いで根太の本数が足らず、奥までデッキを貼れなかった。これも後日根太を追加し、完成させている。
これでついに、はしごを使わずともデッキに乗り降りできるようになった。したがって、壁を完成させられる。外壁までどんどん進めていきたい。
斜面に建築することによって、結果的に足腰に優しいツリーハウスとなった。なおかつ、デッキの地上高は3m程度あるため高度感も失っていない(人によっては物足りないだろうが)。トイレなどに行くことを考えたら、かえって楽で良い。
デッキを作っている間、友人が山道を少し整備してくれた。
斜面に階段ができたら、建材の搬入、移動が飛躍的に楽になった。さらに砂利も敷いてくれたので、泥をツリーハウスに持ち込みにくくて嬉しい。山に文明がもたらされている。
デッキは広くなったが、なんら手すりなどが無いためまだ恐怖感が強い。手すりを早くつけたいのだが、強度のある手すりを作るのも割と難しいと建築士が本で語っていたし、頭の中の構想がまだ固まっていないため踏み出せずにいる。設計段階ではそこまで考えていませんでした。
正面のデッキの端には土台の木が2箇所届いているので、まずそこはコーチボルトでガッチリ固定できる。それ以外の根太はあろうことか大引きから20cm飛び出す設計にしているため、土台が届いていない。2x4の木口にボルト2本止めるだけでは少し不安なので、根太の下で土台と連結させる必要があるだろう。
また、もともとある右側のデッキは、先日問題に挙げたトラス構造4つで支えられている。
https://treehouse.hatenablog.jp/entry/2019/10/17/190000
この時点でやや不安なのに、ここに支柱を付けられるだろうか。解決すべき課題だ。
今回新しく作ったデッキ部分は、根太の2x8の木口に十分面積があるため、ボルト2本止めでいけるだろう。
小屋を作るまでは、コーススレッドの強度にかなりの信頼感があったが、重みの補強でコーススレッドが10本とも折れたり、土台が崩れたときにいとも簡単にビスが抜けたりした経験をしたため、家単位では強度の必要な部分でネジに頼ることはできないことを学んだ。
下から順番にしっかり組み立てることと、構造体の強度を把握して、無理のない負荷がかかるように設計することは、簡単そうでとても困難だ。半年で建築物を見る目が変わった。
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デッキを作った夜は、地権者である友人と焚き火をして過ごした。
焚き火の心を癒やす力はすごいと思う。ノルウェーで、焚き火動画が延々12時間流れる番組は、視聴率20%に達したという。敬愛するtwitterの生物群先生(https://twitter.com/kmngr?s=20)も、最近bushcraft動画を見ているとのことだった。森の中で木をゴリゴリと切る動画でなんであんなに癒やされ、そしてわくわくするんだろうか。
おそらくそれは、森は何も知らない都会人が見たら「森」でしかなく、ただの環境なのだが、そこに散らばる要素から何かを作る、さらにそれを短時間の美しい動画にまとめることによって、何も「無い」状態から、様々なツールが「有る」状態へと劇的に変化するからではないだろうか。そして、いくつかの要素、たとえばシェルター、チェア、ファイヤリフレクター、タープなどが次々と生み出され、ただの「森」という環境が、快適な環境に変化することで、感動は極大を迎える。そこで美味しいものを作って食べたり、くつろいだりすることで、さらに恍惚とするのだが、筆者としてはこれはレースのウイニングランのようなもので、感動のピークを煽り、延長させているに過ぎないようにも思える。本質は、快適な環境の創造である。
ツリーハウスの素晴らしさにも、共通点を見出すことができる。
木の上という、一般には全く近寄り難い環境。周りには枝と葉っぱと空気しかない。そこに、突然快適な小屋が出現する。自分もそこに登ることができる。地面が無い分森よりも要素が少ない空間に、家が生み出され、滞在/居住可能な環境へと変化する。beforeがあるからafterが美しく見えるタイプの現象だと思う。
さらに、地上の小屋が「土地」という要素の変化と捉えられると、空中の「無」の部分に作られるツリーハウスは、創造という点で感動が大きいと考えられる。樹木を生かしたまま、その形に応じて作られるというのも、有機的で、機知が感じられて大変よろしい。ゲゲゲの鬼太郎やスナフキンのような、自由気ままなはぐれ者で、スローライフの象徴のようなイメージが付いているのもよいものだ。
少しツリーハウス学を整理できた。ここに於いて、地面から支柱があることはツリーハウスの良さを損なうものではないということは、重要な知見である。良い点に目を向けていく方針を新たにした。
もう少し作業を進めます。