作業記録 5.31-6.3 その2
前回に引き続き、直近の作業経過について記録していく。
※前回の記事:作業記録 5.31-6.3 その1 - ツリーハウス施工記録
土台の上に根太をどんどん張っていき、家屋部分は大体張り終えた。写真向かって左側の木の向こうにも、側面のデッキを作るために1本張りたいところだが、土台から飛び出した部分である。土台を追加して、強度を確保したいところだが、山を登ってきて最初に目につく部分でもあるし、意匠として2x4材で三角形の構造を作って支える設計をしてみた。
バシッと決まれば、下からの見た目の良いアクセントになるし、たまに歩き回るくらいの場所なので多少冒険してみようと思う。
三角形で支える場合、この場合は特に左の先端接合部に強いずり応力がかかると思われる。そのため、剛性の高い接合方法をとった方が好ましい。金属板でガチガチにするのも良いが、できるだけナチュラルな見た目を目指し、今回は木にホゾを作って簡単な木組みを作ってみることとした。
ちなみにこれは最もうまくいった一組である。一日雨の日があったので倉庫内でこれを作っていたが、まあノミを使うのもはじめてだし、うまくいかないものだ。しかし、多少緩みがあってもネジでしっかり留めればそれなりに剛性が得られると信じたい。
上記の4点をさらに土台に組み付け、デッキ部分の根太を残すのみとなった。
この時点で最終日昼であった。最終日までには床の合板を張り、その上で友人とビールで乾杯するという目標があったため、家屋部分の合板を優先して作業することとした。
合板はホームセンターで最も一般的に入手可能な構造用合板である、針葉樹合板12mmを使用した。合板はほとんどが910x1820mmという寸法を持つが、これは在来工法で使われることの多い455mm(1.5尺に相当)ピッチに合わせて作ってある。これを縦に張っていけば2ピッチでちょうど1枚分であり、非常に効率が良い。しかし今回は、金に目がくらんで飛びついた断熱材に合わせて、468mmピッチという変則的な寸法のため、合板を加工する必要がある。加工と言っても接合部が根太上になるよう寸法を決め、丸のこで長方形に切っていくだけなのでそれほど手間ではない。端材は出るが、屋根下の半端な寸法の部分に使えるだろう(たぶん)。
こうして自分の判断を正当化していくのがDIYにおいて非常に重要な要素となる。
自作丸のこガイドも使いつつ、合板をカット、計8枚を使用して床合板を張った。
このために、友人はヱビスビール500mlを用意してくれていた。上に合板が乗れば、ようやくツリーハウスのフェーズ1終了といったところである。このセーブポイント到達を祝して、森林の中突如出現したデッキ上で、意外にも2時間を費やして、楽しい語らいを重ねた。
ビールと一緒にファミリーマートでタンスティックを買ってきてくれたのだが、これがまた中々の美味であった。普段はローソンのドライソーを好んでいたが、要冷蔵ではあるもののタンスティックも独特の歯ごたえとレモン風味を備え、150円の価格に見合う価値を主張していた。嬉しい発見であった。
順風満帆のように見えるが、もちろんトラブルも発生した。
サイドストーリーに出来ないくらい重大な案件なのだが、重量のほとんどを支える左右のボルトが、かなり歪んできているのを発見した。
使用しているのはM20(直径20mm)、長さ100mmのステンレスボルトである。
飛び出した部分に2x10が乗るだけの余裕を持たせなければならないため、木の幹にはせいぜい45mm程度しか入っていないことになる。樹木の外側は樹皮の厚みもあるし、内部の硬い組織に刺さっているのはもっと短い距離かもしれない。写真から、ボルトの軸が曲がっているようには見えないし、ステンレスとはいえ20mmの鉄がこれくらいの重量で曲がるとも思えないので、おそらくボルトが短すぎるせいで、重量を支えられるほどの長さにボルトが入っておらず、木質組織が潰れてしまったのだろう。
組織が潰れて傾いているが、ネジ山はまだ食い込んでいるため抜けてこず、落下を免れているように思われる。これではおちおち上で酒を飲むわけにもいかないので、取り急ぎボルトの横に支えの鉄柱を立て、少しリフトアップさせておいた。
これでしばらくは安全だと思う。
問題点は、ボルトの強度というより長さだろう。ホームセンターで手に入る範囲のものでなんとかしようとしたのが誤りであった。本場のGL工法では、30mm程度のボルト(Garnier Limb ボルト)を200mmくらいねじ込んでいるようである。
今回作業中に、建築士をやっている友人(通称"現場監督")が視察に来てくれた。その際指摘されたのが、やはりボルト固定部の強度不安であった。その解決のため、2つの対策を提案してくれた。
1.ボルトで樹木を貫通させ、両側からガッチリ土台で囲む構造とすること。
2.2箇所のボルト固定部をつなぐような、1本の斜めの材を土台に追加すること。
ボルト自体の問題が浮上した現状、根本的対策として1の方法を講じたほうが良いだろう。ボルトの長さを単純に延長する方法もあるが、製造方法的に長いボルトは作りにくいらしく、数千円にもなってしまう。
そこで、どこかのツリーハウスブログの人がやっていた、寸切を用いる方法を採用した。
ボルトの頭が無ければ、長いネジでも比較的簡単に作れるようで、ボルトよりも数倍安い価格で入手できそうである。
貫通させるには今あるドリルビットも長さが足りない事だし、この際ボルトの径もワンランクアップさせ、M24の寸切1.5mを注文した。4000円ほどであった。寸切には頭が無いが、ナットを2つつけるダブルナットというテクニックで締め込むことは可能なようなので、大きな問題にはならなそうである(予想)。樹木の径は420mmだが、treehouse #2以降も想定し、どどんと600mmのドリルビットをAmazonで注文した。
ボルトの下穴は、(ボルトの径)ー(ボルトのピッチ)とするのが通常らしい。ボルトの規格は下表を参照。M24ならば(径24mm)ー(ピッチ3mm)で、21mmが適当と思われる。
ネジの世界も奥が深い。半沢直樹の父親を思い出した。ネジを持って銀行員に泣きつく回想シーンは、1クールで一体何回流れたのだろう。2期が待ち遠しい。
半沢ネジに思いを馳せつつ、M24寸切の到着を待つ。手持ちの金属のこぎりで切断可能だろうか。
次回、「金鋸死す」。デュエルスタンバイ!